扇田克也展 HOUSEMAN INTO IHARIAN
会期:2016-6-1(水)~14(火) 11:00~18:00(会期中無休)
会場:As baku B (石川県金沢市尾張町2丁目10番6号)
上野雄次さんと鋳玻璃器とI H A R I K I について
私は鋳造ガラスの立体作品を中心に制作を続けています。その中でもH O U S E シリーズは制作を始めてから2 5 年になります。そして最初にうつわの制作をしてからは、かれこれ30年になります。これまでをふりかえると、私が何かアイデアを得て新たな試みを始め、そして行き詰まり、迷いながらまた戻って来る場所が、HOUSEであり、うつわでもあるように思います。
このうつわとは初期の数年はパート・ド・ヴェールによる、つぶやき硝子と名付けたシリーズであり、ここ十数年では、鋳造ガラスによるうつわのかたちの作品の鋳玻璃器に始まり、光を溜めるかたまりでありながら花や水が入る空間を持ったI H A R I K I へと移るシリーズのことです。I H A R I K I は一見してはうつわには見えず、花や水などの自然が加えられてうつわであることが伝わるような何か心もとない印象も拭えないものです。この新たなI H A R I K I シリーズを始めるきっかけになったのが花道家の上野雄次さんとの出会いです。上野雄次さんとは十数年前に東京・南青山にあるカラニスの松本さんの引き合わせにより二人で展覧会をしました、そこで意気投合し、その後も数回に渡りカラニスでの二人展を重ねることになり、そのたびに上野さんには繊細でありながら大胆で力強い刺激を感じています。上野さんからの刺激に加えて、近年、私自身が鋳造によるガラスが人工のものでありながらも自然的な要素を感じさせるような質感を持つことや、光を内部に留める性質など自然を宿す要素を重視していることも、花や水との感覚的な親和性を高めて鋳造ガラスをもっと身近なものにしたいという思いにつながっています。ところで鋳玻璃器(いはりき)とは扇田による造語です。鋳造ガラスという意味の英語 C A S T G L A S S を、鋳物の鋳にガラスという意味の玻璃という言葉を当て、器という字を加えたものです。初めにこの言葉を使ったのは2 0 0 3 年に北海道立近代美術館で開催された O u t s p o k e n G l a s s という展覧会に出品した作品でです。
当初はうつわのカタチの彫刻という思いで制作していましたが、当時の鋳玻璃器にもカラニスでの何回目かの二人展の際に上野さんに花をいけてもらいました。しかし当時の私は花をいけるためのものとして発展させるには至らず、鋳玻璃器は制作を中断したままで、他の作品での模索を続けている間に数年が過ぎました。その間にも上野さんの活動はパフォーマンスやワークショップなどを重ね、さらなる高みをめざして続けられて来ました。時は巡り2 0 1 1 年からはカラニスでの二人展が新たなシリーズとして始まることになり、この新たなコラボレーションでは上野さんに花をいけてもらえるものをつくろうと考え、鋳玻璃器をIHARIKI に改め、花を意識した制作を手探りながら始めました。毎回、何か新たな試みを加えては、これでいいのかという思いも残しつつ、上野さんの花がどういけられるのかをとても愉しみに制作しています。今回はこれらの旧作から新作までをその他の立体作品と共に出品します。その場でどんな花がいけられるのか、そこにどんなパフォーマンスが降りてくるのか、祭りを待つ気分でいます。どんな空間が出現するのでしょう、愉しみです。上野さんについてはもっと語りたいところですが、私にはあまりに言葉が足りません。会えばわかる。見たなら忘れられない。6月3日はそんな上野さんの花とワークショップとパフォーマンス、そして上野さんご本人にも是非、会いに来て下さい。
扇田克也
関連イベント:
●上野雄次 花いけワークショップ
2016-6-3(金)13:00~14:30 定員5名、15:30~17:00定員5名
参加費 ひとり3,000円
お問い合わせ、お申し込みは 080-3044-2492(オーギタまで)
●オープニングパーティ
2016-6-3(金)18:00~
※花道家上野雄次氏のパフォーマンスもあります
会場:As baku B
金沢市尾張町2丁目10番6号
TEL 076-256-1913